“水の都とやま”推進協議会 設立趣意書

私たちの街は、神通川(現在の松川)を外堀に富山城が築かれ、城下町として発展してきました。松川は富山市の中心部を抱きかかえるように流れ、“水の都とやま”のシンボルとなっています。
1985年、同じように美しい川が街中を流れている縁で、全米ナンバーワンのモデル都市・サンアントニオ市から、シスター・シティの申込みがありました。しかし、ダイヤモンドに例えるとピカピカに磨かれているサンアントニオに比べ、松川は原石のままです。
金沢の人からは、「松川はまるで兼六園の真ん中を流れる曲水のよう」と羨ましがられているのに、多くの市民は花見シーズン以外、その価値にあまり気づいていないようです。
「友だちが遊びにきても連れて行く所がない!」との市民の悲痛な叫びから、1987年、中心部に観光名所をつくり、賑わいを取り戻そうと、松川に遊覧船がスタートしましたが、まだまだ整備水準・管理水準が低いため、人々が賑わい集う川になっていません。
金沢にはキラーコンテンツがあるが、富山には“顔”になるものがない、と言われます。それなら、松川を“水の都とやま”の顔となるよう、魅力ある場所に作り替えることです。
城址公園の松川側には「親水の庭」があって、滝が流れていたり、日本庭園のように美しいデザインになっています。また、「松川茶屋」も富山城と一体になって、歴史を感じさせるとともに、遊覧船に乗っている人も階段式の“カフェテラス”で憩う人たちと手を振り合ったり、街の真ん中のリゾート地にいるように心を和ませてくれます。
このようなロマンチックな場所を、上流側、下流側へと伸ばし、護岸の環境整備を進めれば、中心部の魅力がアップして、沢山の人々が集まってきて賑わう場所になるでしょう。
観光客にとっては、訪れてみたくなる魅力的な“水の都とやま”、市民にとっては、自然あふれる、“うるおいとやすらぎ”を与えてくれる快適で美しい環境、その中でウォーキングできることで、健康増進がはかれ、健康寿命も延び、医療費も抑えることができる、との一石二鳥の効果があります。
松川のように都市のど真ん中を美しい川が流れてる所は、他にありません。富山市にとって、松川は大切な宝です。松川の環境整備が進み、さらに美しさと賑わいが増してくれば、市民も他都市にはない魅力を持った“水の都とやま”に誇りを持つに違いありません。
そのためには、松川と街づくりを一体化したマスタープランをつくり、皆で話し合っていくことが大切です。市民が計画段階から積極的に参加できるように、ここに「“水の都とやま”推進協議会」の設立を発起する次第です。皆さんとともに、富山市にとって100年に1回あるかないかといわれるこの大プロジェクトに挑戦できることを、心から楽しみにしています。
2017年2月1日