サンアントニオ元市長ライラ・バンクス・コックレル(Lila Banks Cockrell)さんが、「ミュージアム・リーチ(Museum Reach)」と呼ばれる北側への拡張プロジェクトにおける閘門の建設を強く訴え実現したそうです。
ちなみに、ダウンタウン地区と、北にある「サンアントニオ美術館」や「パール(The Pearl)」地区では、川の水位に約2.7メートル(9フィート)の差があり、この高低差を克服し、観光用ボート(バージ)がそのまま遡上できるようにするために建設されたのが、この近代的な閘門(ロック)です。
彼女の情熱が実り、2009年にロック&ダムが完成。これにより、観光客はボートに乗ったまま、ダウンタウンから活気あるパール地区まで水上を旅することができるようになった。この施設は、彼女の功績を称えて親しみを込めて「Lila’s Locks(ライラのロック)」と呼ばれているそう。
Museum Reach 10th Anniversary Lila Cockrell
San Antonio River Authority
なお、コックレルさんはロックの建設だけでなく、リバーウォークを彩る観光用ボートそのものの普及にも深く関わっているそう。1960年代、市議会議員だった彼女は、川に観光や移動のための「ボート艦隊」を導入することを提案。1966年、彼女の功績を記念して、最初の観光用バージに「Lila」という名前が付けられました。これが1968年のサンアントニオ万博(HemisFair ’68)での大成功につながり、現在のカラフルなバージが並ぶリバーウォークの風景が定着したそう。
(by Gemini)
もちろん、バイパストンネル(サンアントニオ川トンネル)が完成していなければ、現在の場所に閘門(ロック&ダム)を建設し、維持することは非常に困難、あるいは不可能だったと考えられているそうです。
その理由は、主に以下の3つのポイントに集約されます。(by Gemini)
1. 破壊的な洪水から施設を守るため
サンアントニオは歴史的に「フラッシュフラッド(突発的な大洪水)」に見舞われやすい土地です。1921年の大洪水では市街地が壊滅的な被害を受けました。
もしバイパストンネルがなければ、大雨のたびに大量の濁流、流木、土砂がリバーウォークへ直接流れ込み、精密な機械構造を持つ閘門や、観光用ボートを破壊してしまいます。トンネルが洪水の80%以上を地下へ逃がしてくれるからこそ、地上のリバーウォークは常に「穏やかな水面」を保ち、閘門のような複雑なインフラを安全に運用できるのです。
2. 水位を「ミリ単位」で管理する必要がある
閘門を安全に作動させ、ボートが安定して発着するためには、川の水位を常に一定に保つ必要があります。
- トンネルの役割: 増水時には余分な水を地下へ逃がし、逆に渇水時にはトンネル内の水を地上へ汲み上げて再循環させる機能を持っています。
- 閘門の役割: この安定した水位を前提に、約2.7メートルの高低差を調節してボートを昇降させます。
つまり、トンネルによる「マクロな流量調節」があるからこそ、閘門による「ミクロな水位調節」が成立しているのです。
3. 「ミュージアム・リーチ」開発の前提条件
閘門がある「ミュージアム・リーチ(川の上流区間)」の再開発プロジェクト自体、トンネルが1997年に完成し、ダウンタウンの安全が保障されたことで初めて本格化した計画でした。
サンアントニオ川当局の関係者も、「トンネルこそが、ミュージアム・リーチという夢のような公園(と閘門)を実現可能にした真の立役者である」と述べています。
ライラ・コックレル元市長が閘門の建設を死守できたのは、彼女の政治的リーダーシップに加え、足元(地下150フィート)で街を洪水から守る巨大なバイパストンネルという「科学的な裏付け」があったからこそと言えるでしょう。
San Antonio River Tunnel and Infrastructure
この動画では、サンアントニオの街の地下に眠る巨大なバイパストンネルの仕組みと、それがどのように地上の美しいリバーウォークや閘門の運用を支えているのかが詳しく解説されています。

